あの日ふたりは夢を描いた
その日は雨が降っていて、屋上が使えなかった。
私は昼食とるための空き部屋を探して校内をとぼとぼ歩いていた。

今日はなかなか空き部屋が見つからない。
ただ食事をするだけなのにこんなにも時間を要する自分に嫌気がさす。

息を切らせながら階段を上りやっと見つけた場所は、五階にある視聴覚室だった。部屋に入り後方の端っこあたりに腰かけた。

保冷バックからお弁当を取り出し、箸やランチョンマットを用意していると、


「見つけた」

後ろからそんな声が聞こえた。

ゆっくり振り向いた先にいたのは、想像通り以前話したクラスメイトの相馬くんで。

彼は足取り軽く私に近づいてきて目の前に立った。
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