あの日ふたりは夢を描いた
『俺も同じだよ』

そう言った真柄の言葉には驚いた。

『俺も並木になにかを求めたりしないから、ただクラスメイトとして一緒に過ごしていたい』

『並木のことが、人として大好きだから』

驚きを通り越して安心していた。彼女にこんな素敵な理解者がいたなんて。

僕はその言葉を聞いて、また屋上に戻った。

夏から秋に季節が移り変わる途中で、心地よい風が吹いている。

少しオレンジがかってきた秋の空を寝ころびながら見上げた。

彼女と過ごした春も夏も秋も、きっとこれが最後だろう。

冬は、一緒に過ごせる日があるだろうか。


……諦めたわけじゃない。

だけど最近、ふとしたときにそんなことを考える日が増えた。
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