あの日ふたりは夢を描いた
自分が死ぬはずがない。

そうは思いながらも、病気がわかってからすぐの頃は、どこか不安で自暴自棄になっていた時期があった。

そんなときに、僕はきみの優しさに救われたんだ。

だから僕はきみの優しさを知っている。


きみは覚えているだろうか。

学校終わりに大雨が降っていて、僕は傘もささずうずくまって泣き崩れたことがあった。

強い雨に打たれながら道の端っこで。

真冬で凍てつく寒さの中、体から体温が奪われていった。

どれほどそうしていただろうか。
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