あの日ふたりは夢を描いた
午前中に病院を出て父の運転する車で自宅に帰るも、あまり体調の優れなかった僕はリビングのソファで横になりながら過ごしていた。

夕方ふと体が軽くなったとき、これが最後のチャンスだと思いきみに連絡を入れた。

『真白、会いたい』と。

そこまで遠くに行ける体力のなかった僕は、学校近くの公園を待ち合わせ場所に指定し、徒歩で公園に向かった。

『送っていくよ』と心配そうに声をかける母には、『自分の足で向かいたいんだ』と言って断った。

十九時二十分。

待ち合わせ時間にはまだ早かったが、息を切らしながら公園に駆けつけてくれたきみがいた。

二か月ぶりに見るきみはちっとも変ってなくて安心した。
< 251 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop