あの日ふたりは夢を描いた
『どうしたの、そんなに急いで』

だから僕もいつもと変わらない口調できみに話しかけることができた。

『だって急に会いたいなんて言うから、なにかあったんだと思って。なんか不安になっちゃって』

心配そうに僕を見るきみに愛おしさが増した。

少し話すときみの目から涙がこぼれた。

『なに泣いてんの?』そう言うと、

『だってずっと会えてなかったから、久しぶりに声が聞けて姿が見れて安心した』と言ってくれた。

きみの形のいい小さい頭に手を乗せ、きみを好きになれて本当によかったと、心底そう思った。
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