あの日ふたりは夢を描いた
病室と違って冬の夜は空気がいい。肺に空気をいっぱいに吸い込む。

それから夜の星を眺めて色々なことを思い出していた。

僕は病気になっていなかったら、きみを遠くから見ているだけでよかった。

本当は近づきたかったけれど、そこまでの欲が僕にはなかったから。

だけど病気になったおかげで、命は長くないかもしれないと知ったおかげで、きみにもっと近づくことができた。

後悔しないように生きようと。

病気が僕に、きみに近づく勇気をくれたんだ。
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