あの日ふたりは夢を描いた
冬休みの二週間はバイトにも行けず、食事も喉を通らず、ただ生きるために必要最低限のことをして生活していた。

冬休み明け、学校に向かった。

私は死ぬことなんてできないのだから、ただ前と変わらない毎日をこなしていくしかなかった。

教室に着き自分の席に座る。右隣の彼の席を見つめた。

『おはよう』と手を挙げて、いつものテンションで彼がやってくるような気がした。

そのうちにななめ右前の席の吉浜くんが登校してきた。

私たちは目を合わせた。『おはよう』と静かに挨拶をした。

授業の内容なんて、まだ頭に入らない。

ただ行儀よく椅子に座り、隣の席に彼がいない悲しみに耐えながら、時間が過ぎるのを待つだけだった。
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