あの日ふたりは夢を描いた
「……理央はいつも笑ってた。つらい顔なんて全くしなかったから、どきどき俺は、理央が病気を患っているのを忘れてたよ」

私なんて病気に気づくことすらできなかった。

思い返せば思い当たる節なんていくらでもあるのに……

いつも自分のことでいっぱいいっぱいだったから。

「理央さ、俺が少しでも心配そうな顔をすると『そんな重病じゃないよ。心配するな』って、いつも笑ってそう言ってた」

「……そう」

そんなシーンが簡単に想像できた。人を常に思いやる人だったから。
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