あの日ふたりは夢を描いた
「理央が死ぬような病気だとはぜんぜん思わなかった。理央はいつも夢に向かって輝いていたから」

「うん。そうだね」

彼の夢を語る姿を思い浮かべながら、静かにうなずいた。

「だけどいろいろ思い返してみると、理央は自分の命が残り少ないってわかってたのかもしれないな」

「……うん」

「わかってて、自分ができることを精一杯やってたのかも」

「……そうだね」

私は吉浜くんと話を終えた後、とぼとぼと家に帰って自分の部屋のベッドに横たわっていた。
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