あの日ふたりは夢を描いた
高校二年生になってから、理央と並木の距離は近づき始めた。

『見てるだけでいい。今は夢のこともあるし』

並木に対して以前はそんなふうに言っていたから、理央にどんな風が吹いたのだろうか、なんて疑問に思っていた。


だけど今ならわかる。

理央は病気になったことがきっかけで並木に近づいたんだ。

この先もずっと長く生きられるかわからなかったから。

彼女の中に自分の存在を焼き付けたかったのだろう。

春から夏、夏から秋。秋から冬。季節が移り行く中でも、理央はいつも並木を想っていた。
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