あの日ふたりは夢を描いた
夏休みが明けてまた学校が始まった。

夏休み中、理央は忙しかったのか、少し痩せたように思えた。

休み明けのLHR、文化祭の出し物についてクラスで話し合っていた。

クラスがざわざわしている中、席替えで後ろの席になった理央が肩をとんとんと叩いてきた。

振り向くと『もっと近づいて』というように、右手で手招きして俺を呼んだ。

顔を近づけると、耳元で『オリジナル劇に一票入れて』とささやかれた。

特に意見のなかった俺は理央の楽しそうな笑顔を見ながら「別にいいけど」とだけ言った。

文化祭の出し物が無事に劇に決まったあと、
『オリジナル劇の脚本は、並木真白さんが書きたいそうです』

後ろから元気な声が聞こえてきた。

隣の並木は本当に驚いた顔で理央を見ていた。
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