あの日ふたりは夢を描いた
「彼女が自分に自信を持つチャンスなんだ。少しずつでもいいから成功体験を積み重ねていってほしい」

「なるほどな……」

わかったことは、理央が並木を本当に大切に思っていること。

「それから、彼女の魅力をみんなに知ってもらうチャンスでもある」

「並木のプロデューサーみたいだな」

やけに張り切る理央に少し笑ってしまう。

「プロデューサーか。なかなか良い響きだ」

「自信があるんだな」

「あぁ。この機会を絶対に無駄にしたくない」

きらきらした目でそんなことを話していた。

劇の準備も練習も順調に進んで、脚本係の並木はクラスに溶け込んでいるようだった。
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