あの日ふたりは夢を描いた
「……いや、気づいてる。楽しいというか、彼女に出会えて幸せだなって、いつも思ってる」

真面目な顔でそう語る理央を見て安心した。

「よかったな。俺は理央が幸せなら、なんだっていいんだ」

「尚に出会えたことも、すごく感謝してるよ」

いつもストレートに思いを伝えられる理央は本当にかっこいいよ。

夏休み明けから文化祭が終わるまで、理央はよく学校に来ていた。

そしてクラスの輪の中にいる並木を見て、にこにこと微笑んでいた。

文化祭が終わったあと、理央は興奮気味に俺に話しかけてきた。

「なあ尚、文化祭の劇大成功だったよな?」

「あぁ、最高に楽しかった」

「安心した。ひと仕事終えたから」

「ん?」

「並木のプロデュースが終わったから」

そう言って満面の笑みを見せてきた。

「よかったな」

「うん。これでもう大丈夫だ」

そのときは、その言葉の意味がまだわからなかった。
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