あの日ふたりは夢を描いた
小学生の頃は活発な部類だった。

演劇クラブなんかにも入って、全校生徒の前でお芝居をすることだってできた。

とにかく毎日を笑顔で過ごせていたし、学校生活が楽しくて仕方なかったのに。

どうしてこんなふうに生きづらくなってしまったんだろう。

人からの視線が怖くて教室で昼食をとることもままならず、入学してからずっと屋上で食事をしている。

雨が降る日には校内を歩いて空き教室を探し、そこで一人ぽつんとごはんを食べる。

快晴の今日は、強めの風に吹かれながら屋上でお弁当を広げていた。

四月も中旬に差し掛かったが、まだ肌寒い風が吹いている。
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