あの日ふたりは夢を描いた
午前中で雨は止み、雲から少し太陽が顔を覗かせた。そんな午後一番の授業は現代社会だった。

みんなから“もやし”とあだ名をつけられた、白くてひょろりと背の高い先生が、前触れもなく「それではこれからグループワークを始めます」と覇気のない声で言い出した。

「それでは近くの席の人とグループになって、お互いの顔が見えるように机を動かしてください」

机をガタガタと動かす音が教室内に響いている。私の緊張はピークに達していた。

私のグループは、相馬くんとよく行動している吉浜くんと、天然パーマで黒縁メガネをかけた口数の少ない後藤くんと、キリッとした顔立ちで大人っぽい花井さん、それと私の四人グループだ。
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