あの日ふたりは夢を描いた
私の前からA4の用紙を自分の前にサッとスライドさせた吉浜くん。

筆箱からシャープペンを取り出し、さっきの花井さんの意見をまとめながら答える。

「得意な人がやる、それでいいだろ?進行も書記もできるよ。その代わり、並木は今日話し合って出た疑問点を家で調べてくる。
たぶん明日振り返りの時間があると思うから。できるよな?」

隣の吉浜くんと目が合う。とても優しい目をしていた。
相馬くんの友達だからいい人に違いないのは前からわかっていたけど。


「……うん」

自分が全部背負うと他から不満が出るのを理解し、私にできそうな仕事を割り振った。

吉浜くんは頭の回転が速く、本当に機転の利く人だった。

「まあ吉浜くんがそれでいいって言うなら」

花井さんもなんとか納得してくれたようだった。
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