あの日ふたりは夢を描いた
「少なくとも、俺は理央のこと、他の人よりは理解してる自信があるから」

吉浜くんが素敵な笑みを私に向けたと同時に、六時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。

「授業始まるよ。席に戻りな」

「……あっ、うん」

ぼーっと立っていた私は吉浜くんにそう促され自分の席に戻った。


大切に思ってる……

それは本当に私の話だろうか。そんな疑いさえ持ってしまった。

今日最後の六時間目の授業はなんとなく身が入らず、ぼんやりとしたまま時間が流れていった。
< 62 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop