あの日ふたりは夢を描いた
*吉浜side*

理央との付き合いは中学の頃からだ。

中学に入ったばかりの頃からすでにアイドルの練習生として活動をしていた理央は、学校でも目立つ存在だった。


『友達になろう』

入学当初、そんなシンプルな言葉で人懐っこい笑顔を向けてきた。
それだけのことなのに、なぜかこっちまで笑顔になっていた。

普通の高校生とは違う学校生活を送っていたけれど、偉そうにしたりすることも一匹狼になることもなく、理央は誰に対しても分け隔てなく優しかった。

いつも通り、理央が休んだ分のプリントやノートをコピーして渡したとき、「いつも迷惑かけてごめん」と、そう言われたことがあった。

そんなふうに言われた日には、俺の方が心が痛んだ。
< 63 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop