あの日ふたりは夢を描いた
気持ちが重なり合わないとしても、好きな人の笑顔を見て幸せだと感じられる日常が、いつまでも続くのなら、理央はそれでよかったんだ。

高校二年生になって、理央と俺と並木真白は偶然にも同じクラスになった。

理央は並木と一緒のクラスになって交流ができて、学校に来られる日は本当に幸せそうだった。

こんなに幸せそうなら、もっと早くから並木に近づけばよかったのに。なんて俺は思っていた。

「尚、俺は並木のことが本当に好きなんだ」

あるとき、理央は改めてそんなふうに口にした。

「あぁ、知ってる。見てればわかるよ」

「ははっ俺案外わかりやすかったりする?」

「あぁとても。素直で羨ましいよ」

「付き合えないとしても、大切にしたい人なんだ」

「うん」

アイドル活動をしている身として、付き合ってデートをするという高校生がしている当たり前のことが、理央にとっては難しいことなのだろう。
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