あの日ふたりは夢を描いた
このノートは私の日記みたいなもので、話し相手がいない代わりに日々感じたことや不安を吐露する場所だった。

つまり、包み隠すことなく本心が書かれたノートなのだ。

……心の闇を全部知られた。この状況、どうしよう。

見られてしまったのならもうどうすることもできないけど。

気落ちしてしょんぼりしながらそんなことを考えていると、


「真白」

優しい声で急に名前を呼ばれた。心臓の鼓動が一気に速くなる。

友達のいない私にとって、学校生活では『並木さん』と距離を置いて呼ばれるのが普通で、下の名前で私を呼ぶ人なんていないかったから。
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