あの日ふたりは夢を描いた
「並木真白。僕はきみのことを知っている」

思ってもみない言葉に思わず上げた顔。

さっきよりも少しおさまった風に、彼の少し長めの前髪がなびいている。

色素の薄い髪色は透明感があり、色白の彼の肌によく似合っていた。

彼の顔を近くで見たことなんてもちろんなかった。私と接点なんてあるはずのない人だし。

形の良いきらきらした丸い瞳と柔らかい笑顔を向けられ、私はまた素早く目を伏せた。

「僕はきみと、ずっと話したかったんだ」

また強く吹き始めた風とともに、そんな言葉が聞こえてきた。
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