10歳差の王子様
ピンポーン、とチャイムを鳴らした。

すぐにドアが開いて、あさひが出て来た。


「あ、碧斗。どうしたの?」

「これ、回覧板持ってきた」

「あー、ありがとう。もらっとくね」


"どうしたの?"
はおれが聞きたかった。

目元の違和感…、強くなってた。
赤くなって、今まで泣いてましたってそんな顔してる。


「ん?なぁに?あ、遊んでく?ゲームでもしよっか!今日は負けないから!」


じっとあさひの顔を見るおれにいつもと変わらないように話す。

そんな作った顔見たくないのに。


「…あさひ、どうかしたの?」

「何が?どうもしてないよ」


いつもそうだ。
あさひは絶対おれの前では弱音を吐かない。

おれはそれがすごく悔しい。


「碧斗?」


なんであさひは何も言ってくれないんだろう。


俺が子供だから?

あさひより全然チビだから?

おれがあさひにできることって何なの?
< 11 / 49 >

この作品をシェア

pagetop