10歳差の王子様
「碧斗、もうすぐ焼けるからお皿取って」
「うんっ」
あさひが学校から帰って来るのを待って、昨日から食べたがっていたホットケーキ作る。そろそろ焼き上がりだ、良い香りがふわーって部屋中に広がってる。
焼きたい!って言ったけど、焼かせてはくれなかった。
あさひの家だけど、お皿がどこにあるかぐらい知ってる。ちょうどよさそうな白い皿を2枚棚から取り出した。
「ありがとっ」
あとちょっとで出来上がりそう、楽しみだ。
「それで、美羽ちゃんはどうしたの?」
「え、美羽?えっと美羽は…」
ホットケーキを焼きながら今日あったことをあさひに話していた。
太陽には手を繋ぐ女の子がいないとか、好きな女の子さえいないとか、だから同じクラスの美羽なんてどうか?って言ったらすごい声が大きくなってそれが原因で2人が言い合いを始めたこと…
「めっちゃ怒ってた。勝手に自分の話しないでって」
確かに勝手に話したけど、よくよく考えたら勝手に美羽の話をしたのはおれであって太陽ではないけどな。でも美羽は太陽に向かって言ってた。
「マジでめちゃくちゃ仲悪くてさぁ」
それほど嫌だったんだろうな、2人の言い合いなんてしょちゅう聞いてるし。
「ふふふっ」
「何笑ってんだよあさひ!」
「可愛いね」
「何がだよ」
あさひが焼き上がったホットケーキをお皿に乗せた。こんがりとキレイな焼き色でおいしそう。
「それきっと太陽くんも美羽ちゃんも好きなんだよ」
「いや、超仲悪いんだって」
フライパンに油を敷いてもう一度お玉ですくったホットケーキの生地を流し込む。
それを隣で見ながら、早く全部焼き上がらないかとプツプツと小さな泡の数を数えていた。
「素直になれないだけじゃない?」
「すなおに?」
「そう、可愛いよね」
「?」
泡の数を数えていたらあさひがホットケーキをひっくり返した。だから見ているものがなくなって、そのままあさひの顔を見た。
「まぁ碧斗にはわからないかもね」
「おい、バカにしたな!今バカにしたな!?」
にこっと笑われた。笑ったんじゃなくて笑われた。
「さ、焼き上がったからトッピングしよ!」
「話変えるなよ!子供だと思いやがって!」
ぷんっと横を向いた。だってまだくすくす笑ってたから。
「ごめんって碧斗。あ、トッピングのバナナ多く付けてあげるから♡」
「え、マジで!やった!!」
しまった、ついバナナにそそのかされてしまった。もう一度あさひの方を見るとやっぱり笑ってた。
「ぜ、全然嬉しくないからな!!」
でもバナナは好きだからもらっといてあげなくもない…けど。
「あ、そうだ!来週碧斗の好きなアニメのショーあるの知ってる?」
あさひが生クリームやらメープルシロップを冷蔵庫から取り出した。ホッカホカのホットケーキに好きなように飾り付ける。切ってくれたバナナも一緒に。
「マイタウン・ヒーローの!?」
「うん、毎週見てるじゃん。なんかイベントあるらしいよ、駅前のショッピングモールで」
「ま、マジか…!おれの憧れ、マイタウン・ヒーローが来るのか…!!」
そのまんまタイトル通り、町の平和を守るヒーローのアニメ。
ヒーロー・ヒロがヒロイン・マユコのことをとにかく大事にしていてそこをめちゃくちゃリスペクトしてる。
「碧斗嬉しそう」
「ん、何?今ヒロのこと考えてて聞いてなかった!」
「ううん、何でもない。一緒に見に行こっか!」
今嬉しいことが2つ起こった。
嬉しすぎて食い気味に返事をしてしまった。
「行く!!!」
楽しみ過ぎるだろ、マイタウン・ヒーロー!!!
「うんっ」
あさひが学校から帰って来るのを待って、昨日から食べたがっていたホットケーキ作る。そろそろ焼き上がりだ、良い香りがふわーって部屋中に広がってる。
焼きたい!って言ったけど、焼かせてはくれなかった。
あさひの家だけど、お皿がどこにあるかぐらい知ってる。ちょうどよさそうな白い皿を2枚棚から取り出した。
「ありがとっ」
あとちょっとで出来上がりそう、楽しみだ。
「それで、美羽ちゃんはどうしたの?」
「え、美羽?えっと美羽は…」
ホットケーキを焼きながら今日あったことをあさひに話していた。
太陽には手を繋ぐ女の子がいないとか、好きな女の子さえいないとか、だから同じクラスの美羽なんてどうか?って言ったらすごい声が大きくなってそれが原因で2人が言い合いを始めたこと…
「めっちゃ怒ってた。勝手に自分の話しないでって」
確かに勝手に話したけど、よくよく考えたら勝手に美羽の話をしたのはおれであって太陽ではないけどな。でも美羽は太陽に向かって言ってた。
「マジでめちゃくちゃ仲悪くてさぁ」
それほど嫌だったんだろうな、2人の言い合いなんてしょちゅう聞いてるし。
「ふふふっ」
「何笑ってんだよあさひ!」
「可愛いね」
「何がだよ」
あさひが焼き上がったホットケーキをお皿に乗せた。こんがりとキレイな焼き色でおいしそう。
「それきっと太陽くんも美羽ちゃんも好きなんだよ」
「いや、超仲悪いんだって」
フライパンに油を敷いてもう一度お玉ですくったホットケーキの生地を流し込む。
それを隣で見ながら、早く全部焼き上がらないかとプツプツと小さな泡の数を数えていた。
「素直になれないだけじゃない?」
「すなおに?」
「そう、可愛いよね」
「?」
泡の数を数えていたらあさひがホットケーキをひっくり返した。だから見ているものがなくなって、そのままあさひの顔を見た。
「まぁ碧斗にはわからないかもね」
「おい、バカにしたな!今バカにしたな!?」
にこっと笑われた。笑ったんじゃなくて笑われた。
「さ、焼き上がったからトッピングしよ!」
「話変えるなよ!子供だと思いやがって!」
ぷんっと横を向いた。だってまだくすくす笑ってたから。
「ごめんって碧斗。あ、トッピングのバナナ多く付けてあげるから♡」
「え、マジで!やった!!」
しまった、ついバナナにそそのかされてしまった。もう一度あさひの方を見るとやっぱり笑ってた。
「ぜ、全然嬉しくないからな!!」
でもバナナは好きだからもらっといてあげなくもない…けど。
「あ、そうだ!来週碧斗の好きなアニメのショーあるの知ってる?」
あさひが生クリームやらメープルシロップを冷蔵庫から取り出した。ホッカホカのホットケーキに好きなように飾り付ける。切ってくれたバナナも一緒に。
「マイタウン・ヒーローの!?」
「うん、毎週見てるじゃん。なんかイベントあるらしいよ、駅前のショッピングモールで」
「ま、マジか…!おれの憧れ、マイタウン・ヒーローが来るのか…!!」
そのまんまタイトル通り、町の平和を守るヒーローのアニメ。
ヒーロー・ヒロがヒロイン・マユコのことをとにかく大事にしていてそこをめちゃくちゃリスペクトしてる。
「碧斗嬉しそう」
「ん、何?今ヒロのこと考えてて聞いてなかった!」
「ううん、何でもない。一緒に見に行こっか!」
今嬉しいことが2つ起こった。
嬉しすぎて食い気味に返事をしてしまった。
「行く!!!」
楽しみ過ぎるだろ、マイタウン・ヒーロー!!!