10歳差の王子様
「碧斗、欲しいものないの?」

「ないよ、最近コート買っちゃったし」

「じゃあ靴は!あ、帽子とか財布とか!」

「え、急に何?どしたの?」


駅前のショッピングモールまで来た。
昔あさひとヒーローショーを見に来たところ、だいぶお店は変わっちゃったけど今でも人気の遊びスポットなのは健在だ。


「碧斗に何かプレゼントしたいなって、思って。今日までのお礼に…みたいな」


………。

それで誘われたのか。わざわざ。

てゆーかそれじゃあ、俺の方がお母さんじゃないか。


「…何もいらないよ」

「なんかないの?何でもいいよ!あ、ヒロのグッズとか!」

「もういらないよ、小学生の頃好きだったアニメのグッズとかもう欲しくないよ」

「…欲しいもの、ないの?」

「ないから、大丈夫だよ」


むぅ~と口を尖らせる。そんな顔されても、俺だって困るんだけど。


「あ!」

「?」


パンッと両手を合わせて、何かいいこと思いついた風に明るい表情を見せた。


「じゃあパンケーキ食べよう!碧斗好きでしょ?」


それはきっとあさひの好きなものだけど…


「うん、好き」


一緒に作るホットケーキは好きだった。
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