10歳差の王子様
パンケーキを食べ終え、2人並んで家まで帰る。
何度も一緒にこの道を歩いたけど、こんなに静かなのは初めてだった。
さっきまでパンケーキ食べてあんなに楽しかったのに、もう帰るんだと思ったら話せることがなくなった。
俺が何も言わないからあさひも何も言わない。
なんで何も言わないかわかってるみたいだった。
「ねぇ、碧斗」
か細い声で俺を呼んだ。
「ん、何?」
「明日、…碧斗も来てくれるよね?」
明日、明日はあさひの結婚式。
「行くよ、呼ばれてるからね」
「…そうだよね」
またしばらく無言が続いた。
帰りの道はこんなに遠かったっけ。
寒さも朝より増した気がする。
手を…繋ぎたい、思うことしかできなくて。
「あ、あのね!パンケーキとホットケーキの話ね、彼が教えてくれたの!」
"私も同じ反応したの!"
それは少し気になってた。
あれは誰かに言われたからそう返したって意味だ。あさひはその話を誰に聞いたんだろうって、でもなんとなく聞きたくなかったんだ。
「そうなんだ、すごいね。知ってたんだ」
にこりと笑って見せた。俺も大人になったから。
「…碧斗、明日本当は来たくないんじゃないかって思って」
「そんなことないよ、楽しみだよ」
あさひの顔が見れなくて、無理やり前を向いた。意地でも笑っていたかったんだけど、そこまで強くもなれなくて。
「彼に全然会ってくれないから」
「………っ」
あ、ダメだ。この話はしたくない。
瞳に熱を帯びていくのを感じた。
今その話をしたら、俺…!
「碧斗、泣きたい時に泣かせてあげられなくてごめんね」
あさひの方が泣きそうな顔してた。
絶対に泣かせたくなかったのに。
俺はいつだってあさひしか見てなかったのに、あさひの瞳に映ったことは一度もなかった。
所詮子供の戯言で、全部空回りだった。
あさひにとって俺は何だった?
隣に住む子供だった?
可愛い弟だった?
俺にとってあさひは…
お姫様だった。
何度も一緒にこの道を歩いたけど、こんなに静かなのは初めてだった。
さっきまでパンケーキ食べてあんなに楽しかったのに、もう帰るんだと思ったら話せることがなくなった。
俺が何も言わないからあさひも何も言わない。
なんで何も言わないかわかってるみたいだった。
「ねぇ、碧斗」
か細い声で俺を呼んだ。
「ん、何?」
「明日、…碧斗も来てくれるよね?」
明日、明日はあさひの結婚式。
「行くよ、呼ばれてるからね」
「…そうだよね」
またしばらく無言が続いた。
帰りの道はこんなに遠かったっけ。
寒さも朝より増した気がする。
手を…繋ぎたい、思うことしかできなくて。
「あ、あのね!パンケーキとホットケーキの話ね、彼が教えてくれたの!」
"私も同じ反応したの!"
それは少し気になってた。
あれは誰かに言われたからそう返したって意味だ。あさひはその話を誰に聞いたんだろうって、でもなんとなく聞きたくなかったんだ。
「そうなんだ、すごいね。知ってたんだ」
にこりと笑って見せた。俺も大人になったから。
「…碧斗、明日本当は来たくないんじゃないかって思って」
「そんなことないよ、楽しみだよ」
あさひの顔が見れなくて、無理やり前を向いた。意地でも笑っていたかったんだけど、そこまで強くもなれなくて。
「彼に全然会ってくれないから」
「………っ」
あ、ダメだ。この話はしたくない。
瞳に熱を帯びていくのを感じた。
今その話をしたら、俺…!
「碧斗、泣きたい時に泣かせてあげられなくてごめんね」
あさひの方が泣きそうな顔してた。
絶対に泣かせたくなかったのに。
俺はいつだってあさひしか見てなかったのに、あさひの瞳に映ったことは一度もなかった。
所詮子供の戯言で、全部空回りだった。
あさひにとって俺は何だった?
隣に住む子供だった?
可愛い弟だった?
俺にとってあさひは…
お姫様だった。