10歳差の王子様
「めちゃくちゃギリだぞ!行くぞ!!」
ぎゅっと掴まれ、腕を引っ張られる。強引に兄貴の車に押し込められ、何も言えないまま車は動き出した。
「………。」
走り出した車の窓から、ただ外を見つめていた。見慣れた風景なのに今日はどこか違って見える。
「…あさひの旦那になる人、いい人だったぞ。前に会ったことあるんだけどな」
「………。」
「優しそうで穏やかで、あさひにはもったいないんじゃないかなー」
兄貴が無理して喋っているのはわかっていた。たぶん少しでも俺があさひに会いやすいように。
「まぁ、でもあさひも…良い子だし。お似合いか!」
風で草木が揺れている。温かくていい日だ。
「あさひは昔から可愛かったし、明るくて、周りを元気にしてくれる存在だったもんな」
天気のいいがせめてもの報いだ。
「…兄貴も、あさひのこと好きだった?」
「いーや、全然!」
「そっか…」
もう堪え切れなかった。
「あさひはずっと碧斗のものだったからな」
物心ついた時から世界で1番大切な女の子だった。
これが恋だって疑いもしなかった。
いつか俺が贈る指輪を左手薬指に着けてもらうのが夢だった。
「まだ泣くのは早いぞ、あさひの晴れ姿見てからにしとけ」
本気で大きなダイヤの指輪だって買うつもりだったんだ、あさひのために。
ぎゅっと掴まれ、腕を引っ張られる。強引に兄貴の車に押し込められ、何も言えないまま車は動き出した。
「………。」
走り出した車の窓から、ただ外を見つめていた。見慣れた風景なのに今日はどこか違って見える。
「…あさひの旦那になる人、いい人だったぞ。前に会ったことあるんだけどな」
「………。」
「優しそうで穏やかで、あさひにはもったいないんじゃないかなー」
兄貴が無理して喋っているのはわかっていた。たぶん少しでも俺があさひに会いやすいように。
「まぁ、でもあさひも…良い子だし。お似合いか!」
風で草木が揺れている。温かくていい日だ。
「あさひは昔から可愛かったし、明るくて、周りを元気にしてくれる存在だったもんな」
天気のいいがせめてもの報いだ。
「…兄貴も、あさひのこと好きだった?」
「いーや、全然!」
「そっか…」
もう堪え切れなかった。
「あさひはずっと碧斗のものだったからな」
物心ついた時から世界で1番大切な女の子だった。
これが恋だって疑いもしなかった。
いつか俺が贈る指輪を左手薬指に着けてもらうのが夢だった。
「まだ泣くのは早いぞ、あさひの晴れ姿見てからにしとけ」
本気で大きなダイヤの指輪だって買うつもりだったんだ、あさひのために。