10歳差の王子様
「ねぇあさひ」

「ん、なぁに?」


少し息を吸って、あさひの顔を見た。


「俺あさひが好きだ。ずっとずっと、この先も…ずっと好きだからっ」


精一杯伝えたいと思った。

こんな日が来るなんて、一度も想像したことがなかった。

あさひのいる未来しか俺には考えられなかったから。

俺が10年早く生まれたら何か変わっていたのかな?

でも10年早く生まれていたら、あさひとはこんな風にはなれなかったかもしれない。



俺は今のあさひがいいんだ。



「…うんっ、私も碧斗のこと好きだよ。昔から今もずっと、これからも」


だからこの気持ちは変わらない、素直な俺の気持ち。

あさひはずっと大切な女の子だ。


「結婚…、おめでとう」

「うん、ありがとう!」


ちゃんと笑えてたと思う。
気持ちをいっぱい込めたから。



好きだと言ってくれてありがとう。



きっとその人ならあさひを泣かせることなんて絶対ないし、ワガママだって好きなだけ聞いてくれるし、あさひの手を離すことだってない。


ずっと笑顔のあさひでいられる。




それだけで俺は満足だ。




あさひの王子様になれなくても。





「あさひ、幸せになってね!!!」
< 48 / 49 >

この作品をシェア

pagetop