10歳差の王子様
「碧斗、チョコレートでいいよね?」 

「うん、ありがとう!」


ショーが終ってあさひと向き合って座り、フードコートでアイスを食べる。
2人ともチョコレートアイスにしちゃうから半分コとかできないのがあれだけど、それだけ好きなものが一緒ってことだからよし。


「グッズもいっぱい買っちゃったんだよね♡」

「なんでおれより買ってるんだよ」

「トレーディングカード開けよ、碧斗何が出たか教えてね!」


スプーンを咥えながら買ってきたトレーディングカードの封を切る。どのキャラが出るかわからないランダムシステムでヒロが出ることを期待して開けた。

ブブッ、テーブルに置いてあったあさひの携帯が振動した。
一度手を止め、携帯を確認するあさひ。


「………。」

「……?」


さっきまでご機嫌にトレーディングカードを開けていたあさひの顔が暗くなった。

急に表情を失ったみたいに、寂しい瞳をした。


「あさひ…?」

「あ、開けた?中身何だった!?」


でもおれの顔を見た時にはもういつものあさひだった。


「私はねぇ…あ~、ヒロのお母さんだったー!お母さんも入ってるんだコレ!?」


………。

何も言えないじゃないか、そんなの。

トレーディングカードを包装紙から取り出した。


「あ!グラグドエルだ!」

「え!いいなっ!!」


あさひがそんな顔するから。


「あげるよ、コレ」

「いいの!?」

「おれとグラグドエルはライバルだからな!」

「ありがとう!碧斗はヒロ派だもんね!」


おれよりグラグドエルの方があさひを笑顔に出来るような気がしてちょっと悔しかった。

そんな顔、しないでよ。

するならずっとその顔でいてよ。

さっきの表情は何だったんだろう?

気になるじゃないか…
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