「孤高の悪女」で名高い悪役令嬢のわたしは余命三か月のようなので、最期に(私の想い人の)皇太子の望みをかなえてあげる予定です。なにか文句ある?
「これはこれは、『孤高の悪女』じゃないか。ははん。シュナイト侯爵夫人がプンスカ怒っていたのは、きみのせいだな?」
「わかっているなら、いちいち尋ねるまでもないでしょう?」
わたしの前に立って威圧してきたのは、コルネリウスといっしょに育てられたフリードリヒ・シーゲル。バッハシュタイン公爵家同様四大公爵家の次男である。彼は、親衛隊の隊長を務めている。
彼は、ストレートに言えばデリカシーもマナーも常識もなんにもない、脳筋バカ。うんざりすぎるほど体が大きくて、態度はさらにデカい。
それなのに、わたしが「孤高の悪女」と呼ばれて嫌われているのとは違い、彼は「大きな聖人」と呼ばれてみんなから好かれている。
彼はコルネリウスと同年齢で、乳飲み子のときに成り行きで皇弟夫妻の養子になったけれど、皇弟夫妻が事故死してから生家に戻った。
だから、子どもの頃は皇宮ですごしていたので、コルネリウスと一緒に育ったようなもの。
ちなみに、わたしとフリードリヒは、控えめに表現してもまったくあわない。
あわなさすぎて笑ってしまうほどである。
「わかっているなら、いちいち尋ねるまでもないでしょう?」
わたしの前に立って威圧してきたのは、コルネリウスといっしょに育てられたフリードリヒ・シーゲル。バッハシュタイン公爵家同様四大公爵家の次男である。彼は、親衛隊の隊長を務めている。
彼は、ストレートに言えばデリカシーもマナーも常識もなんにもない、脳筋バカ。うんざりすぎるほど体が大きくて、態度はさらにデカい。
それなのに、わたしが「孤高の悪女」と呼ばれて嫌われているのとは違い、彼は「大きな聖人」と呼ばれてみんなから好かれている。
彼はコルネリウスと同年齢で、乳飲み子のときに成り行きで皇弟夫妻の養子になったけれど、皇弟夫妻が事故死してから生家に戻った。
だから、子どもの頃は皇宮ですごしていたので、コルネリウスと一緒に育ったようなもの。
ちなみに、わたしとフリードリヒは、控えめに表現してもまったくあわない。
あわなさすぎて笑ってしまうほどである。