「孤高の悪女」で名高い悪役令嬢のわたしは余命三か月のようなので、最期に(私の想い人の)皇太子の望みをかなえてあげる予定です。なにか文句ある?
「そんなこともわからないのか?」

 ヴェルツナー帝国史の授業中、シュナイト侯爵夫人の義弟にあたるなんとかという先生がアポロニアに言った。

「本の虫」のエリーザからきいたところによると、ちょっと危ない思想の持ち主らしい。その思想のお蔭で、シュナイト侯爵家一族だけでなく教授たちからもにらまれ、追いだされたとか。

 だけど、シュナイト侯爵と侯爵夫人が思想を塗り替える一環として、今回のこの皇太子妃候補の帝国史の先生として推薦したのだとか。

 そんな危ない思想の持ち主の先生を推薦する方もする方だけど、それを許した方も許した方だわ。

 彼のダラダラぐでぐでの説明をききながら、彼の問題は思想だけではないことに気がついた。

 もともとはなんの専攻だったの? と問いたくなるほど間違っているということを。



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