「孤高の悪女」で名高い悪役令嬢のわたしは余命三か月のようなので、最期に(私の想い人の)皇太子の望みをかなえてあげる予定です。なにか文句ある?
「フリッツ、ダブル婚儀が楽しみよね」
「うーん。おれは、両陛下に剣技を披露する程度でいいんだがな」
「ちょっと、そんなことで終わらせないでよ」

 アポロニアとフリードリヒがケンカをし始めた。

 アポロニアにいたっては、ヒロイン像が崩れまくってしまった。

「さて、両陛下に挨拶に行こう。じつは、まだ寝ずに待ってくれているんだ」
「『イエス』とは言っていないわ。早合点しないでよね」
「なんだって? きみは、どこまで頑固なんだ。嫌がらせのつもりか?」
「ええ、そうよ。だって『孤高の悪女』なんですもの。他人が嫌がることをすることが、わたしのライフワークなんだから」

 と言いながらも、彼に抱かれたままになっている自分がいる。

「孤高の悪女」は、皇太子妃になっても続けられるわよね?

 生きてさえいたら……。

   
                                 (了)
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