闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
「そりゃあねえ。コデマリちゃんの抱える闇の深さを覗いちゃったら、助けてあげたいとは思うけど、外部の人間が簡単にどうこうできるものでもないでしょう?」
「今ならまだ間に合う。陸奥先生にも協力を仰げないか」
「ミチノク先生に?」
「“器”になる前の彼女を殺してしまえばいい。そうすれば得体のしれない加護を欲しがる奴らから彼女を守れるし、俺たちも“女神”を巡るバカバカしい騒ぎから強制退場することが可能だ」
「殺す……あ」
さらりと提案された物騒な言葉に、加藤木はいっとき硬直するが、意図を汲んだのか、くすりと笑う。
「そうね。それこそ彼女が望んだこと……か。だけど、ウリュウ先生はそれでいいのかしら」
「俺は生まれつきこの土地にいるが、幼い頃から“諸神信仰”って奴が苦手でね。天のように素直に信じられねぇんだよ。神仏に祈る気持ちもわからなくもないが、それで人間を傷つけるようなら本末転倒じゃないか?」
「同志!」
「はぁ?」
「この閉鎖された不気味な空間にいるにも関わらず、正常な思考を保っていらっしゃるあなたの本心が聞けて安心しました。わたしはコデマリちゃんが幸せになってくれればそれでいいんです」
「今ならまだ間に合う。陸奥先生にも協力を仰げないか」
「ミチノク先生に?」
「“器”になる前の彼女を殺してしまえばいい。そうすれば得体のしれない加護を欲しがる奴らから彼女を守れるし、俺たちも“女神”を巡るバカバカしい騒ぎから強制退場することが可能だ」
「殺す……あ」
さらりと提案された物騒な言葉に、加藤木はいっとき硬直するが、意図を汲んだのか、くすりと笑う。
「そうね。それこそ彼女が望んだこと……か。だけど、ウリュウ先生はそれでいいのかしら」
「俺は生まれつきこの土地にいるが、幼い頃から“諸神信仰”って奴が苦手でね。天のように素直に信じられねぇんだよ。神仏に祈る気持ちもわからなくもないが、それで人間を傷つけるようなら本末転倒じゃないか?」
「同志!」
「はぁ?」
「この閉鎖された不気味な空間にいるにも関わらず、正常な思考を保っていらっしゃるあなたの本心が聞けて安心しました。わたしはコデマリちゃんが幸せになってくれればそれでいいんです」