闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
「いや、俺はただ桜庭蘭子のように彼女を切り捨てる側だぞ」
「偽善者」
「なっ」
「殺すなんて言ってるけど、解放するってことですよね! その最適解を教えてください」
「――それを知ったところで、お前にできることなどほとんどないぞ」
「それでも」

 加藤木は意を決して、雨龍の前で断言する。



「自己満足だと判っていても、目に見えない信仰心が敵だと知っても、わたしは彼女を救いたいのです」
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