闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
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話は天が訪れる一週間前まで遡る。
医療行為と称した調教を受けていた小手毬に、月経が再開したのだ。
このことを知らされ、瀬尾をはじめとした茜里病院の人間は彼女が“器”としての役割を担えると判断、一ヶ月後に茜里第二病院からの退院が決定した。
転院を決められたときも突然だったが、退院もずいぶん早く決まったのだなと小手毬は驚いている。
一緒に付き添ってきた陸奥と加藤木も小手毬が退院することで元の勤務先へ戻ることが決まったが、退院日までは陸奥も小手毬がいる第二病院の病棟で過ごすことを許可された。すでに身体的な痛みはほとんどないという小手毬に麻酔を与える必要もなかったが、加藤木とともに話し相手に甘んじている。
月のものが再開したことで、小手毬の医療行為も一時的にストップした。だが、退院前までには身体を慣らす必要があるからと、彼女はふたたび病室で瀬尾ひとりによる処置を受けることが通達された。雨龍と陸奥はお役御免らしい。狸と呼ばれる茜里病院の院長が何か感づいたようだと雨龍がこぼしていたので、きっとそうなのだろう。
「退院後は亜桜家に戻ることになるのか」