雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 課長が「ううん」と頭を左右に振る。
「最高に嬉しい。もう一回呼んで」
 甘えるようにこっちを見る課長が何だか愛しい。
「拓海さん」
「なんか元気出た」
「拓海さん、また遊びに来て。今度は私が何か料理しますから」
「奈々ちゃんの手料理食べさせてくれるの?」
「拓海さんみたいに上手じゃないけど、でも、ちょっとは作れます」
「何が作れるの?」
「うーんと、カレーライスと、焼きそばが作れます」
「いいね。楽しみだ」
 拓海さんが嬉しそうに笑ってくれる。
 拓海さんを笑顔に出来て嬉しい。

 拓海さんを駅まで送ろうと思ったけど、玄関でいいよと言われた。俺が心配になるから、ドア閉めたらちゃんと鍵かけてと言われて、その通りにした。

 ドアの向こうでエレベーターに向かって歩く拓海さんの靴音がする。
 拓海さんの気配を少しでも感じたくて、ドアに耳をあてて聴いていた。

 靴音が消えると、寂しさに襲われる。
 朝まで一緒にいたかった。深夜に拓海さんを呼び出す佐伯リカコが妬ましい。だけど、恨めしく思うのはやめよう。今夜は拓海さんと幸せな時間が過ごせたんだもの。拓海さんのミートソース美味しかったな。
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