雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 ファミレスを出て、雨宮課長の隣を歩く。
 土曜日の朝、夜は煌々としていた繁華街も眠りについたように静か。

 ふと雨宮課長の広い肩が目についた。男らしくて頼りがいのありそうな肩。雨宮課長の肩に寄り掛かって眠ったらよく眠れそう。……って、何、考えているの! 男の人の肩に寄り掛かって眠りたいなんて私らしくない。私はそんなキャラじゃない。

 ――奈々子は強すぎて可愛げがないんだよ。守ってあげたい感ゼロ。俺、無理だわ

 初めてつき合った人に言われた言葉だった。
 十年前の事なのに、呪いの言葉のように私の中に残っている。

 可愛げがない。守ってあげたい感ゼロ。それが私。しっかりしなきゃ。
 雨宮課長の肩に寄り掛かりたいなんて思っちゃいけない。部署は違うけど上司。プライベートを一緒に過ごす人じゃない。ちゃんと線引きしなきゃ。
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