雨宮課長に甘えたい　　【コンテスト用】
「雨宮さんにはリカコのお腹に子どもがいる事を話してありましたが、中島さんと久保田さん、今聞いた事は秘密にして下さい」
　森さんが私と久保田の方に視線を向ける。
　
　金曜日の夜、具合の悪くなった佐伯リカコを拓海さんが送っていったのは妊娠中だったからなんだ。知らなかったとは言え、拓海さんにきつく当たってしまった。

「子どもって、雨宮課長の？」
　久保田が拓海さんを見る。
「違う」
　拓海さんはハッキリと否定し、説明を求めるような視線を森さんに向ける。
　森さんがため息をつく。
「リカコと心中しようとした男との間に出来た子どもです」
　子どもまで出来ていたなんて。佐伯リカコは辛い状況だったんだ。

「何があったんですか？」
　拓海さんの質問に私も久保田も息を飲んだ。
　森さんが深刻そうに眉間に縦皺を作り、昨夜、何があったか静かな声で話し始めた。
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