雨宮課長に甘えたい 【コンテスト用】
心中未遂事件から一週間後、森さんから電話を頂いた。佐伯リカコが直接、私に会ってお詫びをしたいから来て欲しいとの事だった。
指定されたシティホテルに行くと、カメラマンを大勢見かけた。ひそひそと交わされる会話から佐伯リカコが記者会見を開くらしいという事がわかった。
記者会見という言葉に嫌な予感がする。また拓海さんを巻き込むような事をしなきゃいいけど……。
指定された20階の客室を訪ねるとマネージャーの森さんがドアを開けてくれた。通された客室は豪華なスィートルームで、グランドピアノがあったり、広いダイニングコーナーにはバーがあったり、リビングの天井にはシャンデリアがあったりして、まさに女王様の部屋って感じ。さすが人気女優。
部屋を見ていると、奥の部屋から黒スーツの佐伯リカコが出て来た。背中まであった長い髪が耳が出る程のショートカットになっていたのは驚いた。
「中島さん、わざわざお越し頂きありがとうございます」
佐伯リカコが私に深く頭を下げた。
「おかけになって下さい」
佐伯リカコに言われて、ふかふかのソファに腰かける。森さんが紅茶を淹れてくれて、私と佐伯リカコの前にティーカップを置いた。向かい側に座った佐伯リカコは普段より地味な印象だけど、美しかった。こんなに美しい人が拓海さんの元奥さんだと思ったらやっぱり妬ける。
「雨宮さんから中島さんの事は聞きました。雨宮さんを利用するような事をしてしまって、中島さんはいい気分じゃなかったですよね。週刊誌に写真は出てしまうし、中島さんは雨宮さんとつき合っている事は秘密にしなきゃいけないし、雨宮さんと会うのも気を遣っただろうし」
佐伯リカコの話を聞きながら、今までの苦労が思い浮かぶ。嫉妬で身が千切れそうになる事ばかりだった。
「今まで我慢させてしまって本当に申し訳なかったです」
佐伯リカコが立ち上がって、さっきよりも深く頭を下げた。その姿に謝罪の言葉はうわべだけではなく、申し訳なかったという気持ちが感じられる。彼女なりに一生懸命謝罪をしてくれているんだと思ったら怒れなくなった。今日は佐伯リカコに言いたい事を言ってやろうと思っていたのに。
指定されたシティホテルに行くと、カメラマンを大勢見かけた。ひそひそと交わされる会話から佐伯リカコが記者会見を開くらしいという事がわかった。
記者会見という言葉に嫌な予感がする。また拓海さんを巻き込むような事をしなきゃいいけど……。
指定された20階の客室を訪ねるとマネージャーの森さんがドアを開けてくれた。通された客室は豪華なスィートルームで、グランドピアノがあったり、広いダイニングコーナーにはバーがあったり、リビングの天井にはシャンデリアがあったりして、まさに女王様の部屋って感じ。さすが人気女優。
部屋を見ていると、奥の部屋から黒スーツの佐伯リカコが出て来た。背中まであった長い髪が耳が出る程のショートカットになっていたのは驚いた。
「中島さん、わざわざお越し頂きありがとうございます」
佐伯リカコが私に深く頭を下げた。
「おかけになって下さい」
佐伯リカコに言われて、ふかふかのソファに腰かける。森さんが紅茶を淹れてくれて、私と佐伯リカコの前にティーカップを置いた。向かい側に座った佐伯リカコは普段より地味な印象だけど、美しかった。こんなに美しい人が拓海さんの元奥さんだと思ったらやっぱり妬ける。
「雨宮さんから中島さんの事は聞きました。雨宮さんを利用するような事をしてしまって、中島さんはいい気分じゃなかったですよね。週刊誌に写真は出てしまうし、中島さんは雨宮さんとつき合っている事は秘密にしなきゃいけないし、雨宮さんと会うのも気を遣っただろうし」
佐伯リカコの話を聞きながら、今までの苦労が思い浮かぶ。嫉妬で身が千切れそうになる事ばかりだった。
「今まで我慢させてしまって本当に申し訳なかったです」
佐伯リカコが立ち上がって、さっきよりも深く頭を下げた。その姿に謝罪の言葉はうわべだけではなく、申し訳なかったという気持ちが感じられる。彼女なりに一生懸命謝罪をしてくれているんだと思ったら怒れなくなった。今日は佐伯リカコに言いたい事を言ってやろうと思っていたのに。