雨宮課長に甘えたい 【コンテスト用】
深夜0時頃、インターホンが鳴った。こんな時間に誰かと思えば、モニターに映るのはスーツ姿の拓海さん。玄関ドアを開けると、アルコールの匂いをさせた拓海さんが入ってくる。遅くにごめん。望月先生と北山監督と飲んでいて、と言いながら拓海さんが部屋にあがる。
創立記念パーティーのあと、拓海さんは望月先生に連れ去られていたよう。私が気づいた時にはもう姿がなかった。
拓海さんをソファまで連れて行き、お水を渡した。
「今日は奈々ちゃんにやられた」
お水を飲んでから、拓海さんが私を見る。
「何か企んでいるのは知っていたが、『フラワームーンの願い』を上映するとは思わなかった。よく佐伯リカコが許したな。彼女、あの映画を人目にさらすの嫌がっていたのに」
「もう引退したから自由にしていいと言われました」
「ちゃんと許可取ってあったんだ」
「当たり前です。細野監督のご遺族にも許可を取りましたよ」
「脚本家の許可だけは取っていなかったようだが」
眼鏡の奥の瞳が少しだけ険しくなる。
「すみません。言ったら拓海さんに止められる気がして内緒にしました。どうしてもパーティーで上映したかったんです」
「阿久津部長が奈々ちゃんが暴走するから困ると言っていたが、その意味がわかった」
「怒っていますか?」
「怒っていないよ。これからベッドで満足させてくれるなら、許可しよう」
「えっ、ベッドでって……拓海さん、酔ってるのに、するの?」
拓海さんが眼鏡を外して「奈々ちゃんが欲しいんだ」と唇を重ねた。
創立記念パーティーのあと、拓海さんは望月先生に連れ去られていたよう。私が気づいた時にはもう姿がなかった。
拓海さんをソファまで連れて行き、お水を渡した。
「今日は奈々ちゃんにやられた」
お水を飲んでから、拓海さんが私を見る。
「何か企んでいるのは知っていたが、『フラワームーンの願い』を上映するとは思わなかった。よく佐伯リカコが許したな。彼女、あの映画を人目にさらすの嫌がっていたのに」
「もう引退したから自由にしていいと言われました」
「ちゃんと許可取ってあったんだ」
「当たり前です。細野監督のご遺族にも許可を取りましたよ」
「脚本家の許可だけは取っていなかったようだが」
眼鏡の奥の瞳が少しだけ険しくなる。
「すみません。言ったら拓海さんに止められる気がして内緒にしました。どうしてもパーティーで上映したかったんです」
「阿久津部長が奈々ちゃんが暴走するから困ると言っていたが、その意味がわかった」
「怒っていますか?」
「怒っていないよ。これからベッドで満足させてくれるなら、許可しよう」
「えっ、ベッドでって……拓海さん、酔ってるのに、するの?」
拓海さんが眼鏡を外して「奈々ちゃんが欲しいんだ」と唇を重ねた。