雨宮課長に甘えたい 【コンテスト用】
「ねえ、奈々ちゃん、もしかして北山監督がパーティーに来るのがわかっていたから、あの映画を上映したの?」
ベッドの中で拓海さんに聞かれた。
「北山監督にお会いした時に『フラワームーンの願い』が見たいと話されていたので。それで創立記念パーティーで上映するのはどうだろうって考え始めて。埋もれていた名作を上映する事は一押し企画の趣旨にも合っていたし、最大限の宣伝ができると思いました」
「さすが宣伝部エース」
拓海さんがクスッと笑う。
「奈々ちゃん、北山監督に会っていたんだ」
「望月先生に紹介してもらったんです。『フラワームーンの願い』を望月先生が知ったのは北山監督からですから。それで監督にも知った切っ掛けを聞いたら、息子が書いた脚本なんだとおっしゃって」
「そっか。やっぱり奈々ちゃん、監督が俺の父親だって知っていたのか。だから、ドレス姿であんなに一生懸命、走って来たんだね」
パーティーでの事を思い出したら恥ずかしくなる。
「北山監督の言葉を拓海さんにも聞いてもらいたかったんです。拓海さんは大人になってから息子として監督とはお会いになっていたんですか?」
「いや」と拓海さんが短く答える。
「映画業界にいるから、パーティーとか、イベントですれ違う事はあったけど、直接話す事はしなかったよ。監督とは他人だって思うようにしていたから避けていたんだ。今思うと避ける事で監督の気が引きたかったのかも。ガキだよな。俺は」
ナイトランプに照らされた拓海さんの顔が悲しそうに見えて切なくなる。
拓海さんは北山監督から近づいてもらいたかったんだ。今日の事が監督と歩み寄る、いい切っ掛けになるといいけど。
ベッドの中で拓海さんに聞かれた。
「北山監督にお会いした時に『フラワームーンの願い』が見たいと話されていたので。それで創立記念パーティーで上映するのはどうだろうって考え始めて。埋もれていた名作を上映する事は一押し企画の趣旨にも合っていたし、最大限の宣伝ができると思いました」
「さすが宣伝部エース」
拓海さんがクスッと笑う。
「奈々ちゃん、北山監督に会っていたんだ」
「望月先生に紹介してもらったんです。『フラワームーンの願い』を望月先生が知ったのは北山監督からですから。それで監督にも知った切っ掛けを聞いたら、息子が書いた脚本なんだとおっしゃって」
「そっか。やっぱり奈々ちゃん、監督が俺の父親だって知っていたのか。だから、ドレス姿であんなに一生懸命、走って来たんだね」
パーティーでの事を思い出したら恥ずかしくなる。
「北山監督の言葉を拓海さんにも聞いてもらいたかったんです。拓海さんは大人になってから息子として監督とはお会いになっていたんですか?」
「いや」と拓海さんが短く答える。
「映画業界にいるから、パーティーとか、イベントですれ違う事はあったけど、直接話す事はしなかったよ。監督とは他人だって思うようにしていたから避けていたんだ。今思うと避ける事で監督の気が引きたかったのかも。ガキだよな。俺は」
ナイトランプに照らされた拓海さんの顔が悲しそうに見えて切なくなる。
拓海さんは北山監督から近づいてもらいたかったんだ。今日の事が監督と歩み寄る、いい切っ掛けになるといいけど。