雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
「一人でも多くの方に『今日子』を観てもらいたいんです。あの作品は胸に響くいい映画です。私は宣伝マンとして、いい映画を多くの方に届けたいんです。その為には望月先生のお力が必要です。どうか、お取次ぎをお願い致します。ドア越しでも、窓越しでも、私たちの声が届く場所で構いませんので」
 土下座をしたまま、率直な胸の内を口にした。
 私たちが先生の敵ではない事をわかってもらいたい。

「どうかお願いします!」
 眼鏡の女性がため息をついた。

「何とかしてあげたいのですが、先生は気難しい方なので」
「あなたのお願いだったら聞いてくれるのではないでしょうか?」
「えっ」
 眼鏡の女性が意外そうに眉をあげた。

「望月先生の奥様でいらっしゃいますよね?」
 女性がパチパチと瞬きをする。
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