雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 会社に戻って来たのは夜9時過ぎ。
 総務課のオフィスも、庶務係のデスクも誰もいない。

 誰もいないオフィスを見てむなしくなる。

 私は一体何をやっているんだろう。
 もう宣伝部の人間じゃないのに、頭を下げて回って……。

 奥様は久保田がいなくなったあとに、私に久保田に「からかわれた」と言っただけで、それ以上の事はどんなに聞いても教えてくれなかった。菓子折りも受け取ってもらえなかった。

 久保田にめちゃくちゃ腹が立った。公開間近の宣伝の一番大事な時期に何をやってくれるのか。
 石川町の駅で待っていた久保田ののん気な顔を見たら怒りが爆発して、「久保田なんか札幌に飛ばされてしまえばいい!」と叫んでしまった。久保田は真っ青になり、貝になったように何も喋らなくなった。だから久保田が奥様に何をしたのか未だにわからない。
 
 はあっと息をついた時、デスクの上の付箋が目に入る。
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