雨宮課長に甘えたい 【コンテスト用】

　総務課のオフィスに駆け込み、雨宮課長を探す。時間は午後7時。終業時間は過ぎていたけど、雨宮課長なら残業しているかもしれない。

「雨宮課長なら、もう帰ったよ」
　栗原さんの言葉にガクッと首が落ちる。
　遅かった。あと一時間早く戻って来れれば会えたかもしれない。連絡先も知らないし、どうしよう。明日は土曜日で会社はないし。土日を挟んだら阿久津に言われた期限を過ぎてしまう。

「中島ちゃん、どうしたの？　雨宮課長に急用？」
　栗原さんが心配そうにこっちを見る。

「はい。どうしても雨宮課長に会わないといけないんです。もしご自宅をご存じなら教えていただけないでしょうか？」
　ダメ元で聞いてみた。

「あー、雨宮課長の家。うん。知ってるよ」
　良かった。これで何とかなるかも。