雨宮課長に甘えたい 【コンテスト用】
仙台市街を離れると自然豊かな景色が続く。
雨宮課長が運転する5人乗りのコンパクトカーから見えるのは山ばかりで驚いた。
「山奥でびっくりした?」
静かな声で課長が聞いた。
「いえ、あの。自然がとても豊かでほっとします」
「そうだね。これだけの自然を普段は見ないからね。懐かしいな。ここに来たのは15年、いや、10年ぶりか」
課長が独り言のように呟く。
「課長、以前はこちらによくお越しに?」
課長の口ぶりから頻繁に来ていたような気がした。
「まあね。『フラワームーンの願い』の撮影の時によく来たよ。実は今から行く映画館で撮影してね」
それって撮影の時から関わりがあったって事?
「映画館が出てくるお話なんですか?」
「うん」
それから課長は運転しながら映画のストーリーを話してくれた。
フラワームーンとは5月の満月の事で、5月の満月の日に、過去に強い未練がある者がある映画館で映画を観ると過去に戻れる。主人公の中年男はそんな映画館の事を知らずに古びた映画館で映画を観る。そして、気づくと20年前の過去の世界にいた。
男は20年前に別れた恋人の事をずっと引きずっていた。しかし、その恋人が亡くなったという事を聞き、付き合っていた頃によく足を運んだ映画館に行ったのだった。そして過去の世界で若い時の恋人と出会い、自分たちが別れた原因がすれ違いだった事を知る。男は恋人が幸せな人生を送れるようにと満月に願う。
願いながら男が目を覚ますと元の古びた映画館にいた。過去から戻って来たその世界では亡くなったはずの恋人が生き返り、他の誰かと結婚していたという結末を迎えるが、男は恋人の幸せな現状を知り満足するという話だった。
「この映画で佐伯リカコは恋人役を演じていたんだ。そして脚本を書いたのは雨宮拓海。つまりこの俺」
さらっと付け足すように課長が言った映画情報にハッとする。
「えっ! 雨宮課長が書いたんですか!」
雨宮課長が運転する5人乗りのコンパクトカーから見えるのは山ばかりで驚いた。
「山奥でびっくりした?」
静かな声で課長が聞いた。
「いえ、あの。自然がとても豊かでほっとします」
「そうだね。これだけの自然を普段は見ないからね。懐かしいな。ここに来たのは15年、いや、10年ぶりか」
課長が独り言のように呟く。
「課長、以前はこちらによくお越しに?」
課長の口ぶりから頻繁に来ていたような気がした。
「まあね。『フラワームーンの願い』の撮影の時によく来たよ。実は今から行く映画館で撮影してね」
それって撮影の時から関わりがあったって事?
「映画館が出てくるお話なんですか?」
「うん」
それから課長は運転しながら映画のストーリーを話してくれた。
フラワームーンとは5月の満月の事で、5月の満月の日に、過去に強い未練がある者がある映画館で映画を観ると過去に戻れる。主人公の中年男はそんな映画館の事を知らずに古びた映画館で映画を観る。そして、気づくと20年前の過去の世界にいた。
男は20年前に別れた恋人の事をずっと引きずっていた。しかし、その恋人が亡くなったという事を聞き、付き合っていた頃によく足を運んだ映画館に行ったのだった。そして過去の世界で若い時の恋人と出会い、自分たちが別れた原因がすれ違いだった事を知る。男は恋人が幸せな人生を送れるようにと満月に願う。
願いながら男が目を覚ますと元の古びた映画館にいた。過去から戻って来たその世界では亡くなったはずの恋人が生き返り、他の誰かと結婚していたという結末を迎えるが、男は恋人の幸せな現状を知り満足するという話だった。
「この映画で佐伯リカコは恋人役を演じていたんだ。そして脚本を書いたのは雨宮拓海。つまりこの俺」
さらっと付け足すように課長が言った映画情報にハッとする。
「えっ! 雨宮課長が書いたんですか!」