雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 唇が重なった瞬間、課長が驚いたように身を引いたけど、離さなかった。どうか私の想いを受け止めて欲しい。好きで好きで苦しいこの気持ちをわかって欲しい。柔らかな課長の唇を貪りながら、泣きそうな気持ちでいた。

 この唇が離れたら、もう二度と課長に触れられない気がして胸が締め付けられた。けれど、課長は私が離れたら、今度は課長からキスをしてくれた。

 信じられなかった。夢を見ているのかと思った。でも、間違いなく、今、課長と唇が重なっている。熱い想いを交換するように、私たちは唇を合わせている。

 課長のキスはだんだん激しくなる。私の唇を食べちゃうみたいで戸惑った。半開きになった唇に課長の熱い舌が入ってくる。激しく舌と舌が絡み、下腹部の奥が熱くなっていく。

 キスだけで充分、気持ちいい。課長はなんてキスが上手なんだろう。
 課長が与えてくれる快楽に堪えきれなくて、「あっ」と高い声を出すと、課長がハッとしたように唇を離した。

「ごめん。やり過ぎた」
 照れたように微笑む課長は素敵だった。

「苦しかった?」
 心配するように私の頬に触れる課長が優しい。

「いえ。とても素敵でした」
 正直な感想を口にすると、「中島さん」と沈んだ声で課長が口にした。
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