雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 テーブル席に戻ると、雨宮課長が「中島さんの分も取って来たよ」と言って、私の前にアイスコーヒーを置いてくれた。

 部署が違うとは言え、上司に取りに行かせてしまったのは申し訳ない。
 でも、こうやってさり気ない気遣いができて、しかもイケメンだから雨宮課長は女性社員から人気があるんだよね。うちの宣伝部の子たちも雨宮課長がカッコイイって言ってたな。

 まあ、確かに目鼻立ちの整った精悍な顔立ちはイケメン俳優並みにカッコイイかも。
 キリっとした眉に、くっきり二重の切れ長の目。通った鼻筋に薄くも厚くもない、バランスのいい唇。そしてふさふさな黒髪は魅力的だ。

 前髪をあげたビジネススタイルの髪型も、キリっとしていて、仕事ができそうな雰囲気が漂っている。
 身長も高くて180㎝以上はありそう。

 よりにもよってこんな容姿端麗な人にパンダ目を見られたのか。
 こうして雨宮課長と向かい合っているのが気まずい。

 そもそも泣いた所見られた訳だし……。
 どうやって泣いた事を取り繕う? 映画に感動したと言えば誤魔化せそうだけど、全然泣く場面じゃなかったし。

「ごめん、アイスコーヒーって気分じゃなかった?」
 雨宮課長が心配そうな視線を向けてくる。

「あ、いえ。いただきます」
 恐縮しながらアイスコーヒーを飲むと……えっ、何これ!?
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