雨宮課長に甘えたい　　【コンテスト用】
　通話ボタンをタップして電話に出た。

「お世話になっております。中島です」
「ああ、中島さん。映画のフィルムありがとう。今受け取ったから」
「えっ？　受け取ったんですか？」
「うん。成瀬さんが今、映写機と一緒に持って来てくれたよ。中島さんの代理だと聞いたが」

　成瀬君が望月先生の所に？　一体、何がどうなっているの？

「約束通り、今回の件は水に流そう。それから映画の中の佐伯リカコの容姿については他言しない。それが絶対条件なんだよな？」

　知らない所で話が進んでいる。
　望月先生は佐伯リカコが顔を整形した事を知っているの？

「報告したいと言っているので、成瀬さんに代わる」
　望月先生の後に成瀬君の声がした。

「中島さん、お疲れ様です。こちらの心配はいりませんのでお任せ下さい。佐伯リカコがくれぐれも例の件はよろしくと言っておりました」

　例の件って、佐伯リカコが整形しているって秘密の事？　私が秘密を知っているって、佐伯リカコは知っているの？

　あっ！　雨宮課長だ。
　雨宮課長が佐伯リカコと連絡を取ったんだ。
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