わけあり男装近衛騎士ですが、どうやら腹黒王太子の初恋を奪ってしまったようです~悪役令嬢回避のつもりが、いつの間にか外堀を埋められていた件について~
『やっと、あなたを着飾らせることができるわ』
恐ろしいことに、母親の手には、真新しいドレスが握られていた。薄紅色の布地にアイボリーの細やかな刺繍が施されている、華やかでありながらも派手過ぎないドレスだ。
驚いてケイトが一歩下がった。
『安心しなさい。あなたの身体に合わせて作ってあるから、ぴったりよ』
『お母様……。私の身体の情報は一体どこから?』
『どこからって。お父様もいるでしょう? 優秀な使用人もね』
こうやって、ケイトはデビュタント以降、二度目となるドレス姿になったのである。
『あぁ……、ケイト。本当に綺麗よ』
娘を着飾った母親は、うるうると瞳を潤ませていた。
母親が口にした通り、ドレスはケイトにぴったりだった。
『本当は僕がエスコートしたいところだけど……。いきなりこの姿では驚かれるよね』
『ケイトのエスコートは任せておきなさい』
ケビンと瓜二つの父親がドンと胸を叩き、ケイトは父親のエスコートによって王城へと向かった。
そこは、とにかくきらびやかな世界であった。いつもは護衛として白い騎士服姿で参加していた社交の場に、このようなドレス姿でいるのがむず痒い気持ちがした。
恐ろしいことに、母親の手には、真新しいドレスが握られていた。薄紅色の布地にアイボリーの細やかな刺繍が施されている、華やかでありながらも派手過ぎないドレスだ。
驚いてケイトが一歩下がった。
『安心しなさい。あなたの身体に合わせて作ってあるから、ぴったりよ』
『お母様……。私の身体の情報は一体どこから?』
『どこからって。お父様もいるでしょう? 優秀な使用人もね』
こうやって、ケイトはデビュタント以降、二度目となるドレス姿になったのである。
『あぁ……、ケイト。本当に綺麗よ』
娘を着飾った母親は、うるうると瞳を潤ませていた。
母親が口にした通り、ドレスはケイトにぴったりだった。
『本当は僕がエスコートしたいところだけど……。いきなりこの姿では驚かれるよね』
『ケイトのエスコートは任せておきなさい』
ケビンと瓜二つの父親がドンと胸を叩き、ケイトは父親のエスコートによって王城へと向かった。
そこは、とにかくきらびやかな世界であった。いつもは護衛として白い騎士服姿で参加していた社交の場に、このようなドレス姿でいるのがむず痒い気持ちがした。