わけあり男装近衛騎士ですが、どうやら腹黒王太子の初恋を奪ってしまったようです~悪役令嬢回避のつもりが、いつの間にか外堀を埋められていた件について~
シュテファンは両手を合わせて頭を下げている。まるで神に祈りを捧げるかのようにして、ケイトを拝んでいた。
「殿下。そうやすやすと臣下に頭を下げるものではございません」
落ち着きを払った声で答える。
「臣下に頼んでいるわけではない。友人に頼んでいるんだ」
「友人ね」
ケイトは小さく呟いた。
シュテファンは目の前に想い人がいるとは、これっぽっちも思っていないのだ。
「さすがに家族を売るような行為はできません。父を通していただけないでしょうか」
「ちっ。正規ルートでの攻略か。まあ、いい。必ずお前をお義兄様と呼んでやる」
「はいはい」
適当に返事をしてシュテファンをあしらった。
だがケイトの内心は、焦っており冷や汗をだらだらとかいていた。
なにしろ目の前のシュテファンの運命の女性認定されてしまったのだから。
そして彼はケイトに気づいていない。ここにいるのは彼女の兄であるケビンだと思っている。
それもそのはず。
ケイトがケビンの身代わりとなり、シュテファンの側にいるようになってから、五年が経っている。男装も男性のような声色と振舞いも、かなり上達している。
周囲にいる誰もが、ここにいるケビンが女性であるとは思わないだろう。
「殿下。そうやすやすと臣下に頭を下げるものではございません」
落ち着きを払った声で答える。
「臣下に頼んでいるわけではない。友人に頼んでいるんだ」
「友人ね」
ケイトは小さく呟いた。
シュテファンは目の前に想い人がいるとは、これっぽっちも思っていないのだ。
「さすがに家族を売るような行為はできません。父を通していただけないでしょうか」
「ちっ。正規ルートでの攻略か。まあ、いい。必ずお前をお義兄様と呼んでやる」
「はいはい」
適当に返事をしてシュテファンをあしらった。
だがケイトの内心は、焦っており冷や汗をだらだらとかいていた。
なにしろ目の前のシュテファンの運命の女性認定されてしまったのだから。
そして彼はケイトに気づいていない。ここにいるのは彼女の兄であるケビンだと思っている。
それもそのはず。
ケイトがケビンの身代わりとなり、シュテファンの側にいるようになってから、五年が経っている。男装も男性のような声色と振舞いも、かなり上達している。
周囲にいる誰もが、ここにいるケビンが女性であるとは思わないだろう。