わけあり男装近衛騎士ですが、どうやら腹黒王太子の初恋を奪ってしまったようです~悪役令嬢回避のつもりが、いつの間にか外堀を埋められていた件について~
◇◆◇◆ ◇◆◇◆
ケビンとケイトは双子の兄妹である。
光が当たれば銀色に見える絹糸のような髪も、燃えるような紅玉の瞳も、きりっと通った鼻筋も、艶やかなぽてっとした唇もそっくりな二人であった。
ケイトがケビンになりすますようになったきっかけは十六年前にまでさかのぼる。
ケビンは生まれたときから身体が弱かった。季節の変わり目になれば、すぐに熱を出す。少し遠出をすれば、すぐに寝込む。
どうやら気管支が弱いのだろう、というのが医師の診察の結果であった。
トレイシー侯爵は悩む。次期侯爵にと期待を寄せていた息子の身体が丈夫ではない。できれば治療に専念したい。だが、それを周囲に知られてしまえば、足元をすくわれてしまう可能性がある。
『お父さま、わたしがケビンになります。そしてケビンがわたしになるの。そうすれば、わたしが治療に専念できるでしょ?』
ケイトは父親もケビンも大好きだったから、二人が困るのがいやだった。
ケイトの提案に父親は難色を示したが、ケイトの味方になってくれたのが母親だった。女性陣二人に押し切られた父親は、渋々と納得した。
ケイトはケビンとして父親と共に王都の別邸で過ごし、ケビンはケイトとして母親と共に領地の本邸で過ごす。
ケビンは次期侯爵として父親の手伝いをしており、病弱の妹のケイトは領地で療養している。そう、周囲に思わせるのが狙いだった。
ケビンとケイトは双子の兄妹である。
光が当たれば銀色に見える絹糸のような髪も、燃えるような紅玉の瞳も、きりっと通った鼻筋も、艶やかなぽてっとした唇もそっくりな二人であった。
ケイトがケビンになりすますようになったきっかけは十六年前にまでさかのぼる。
ケビンは生まれたときから身体が弱かった。季節の変わり目になれば、すぐに熱を出す。少し遠出をすれば、すぐに寝込む。
どうやら気管支が弱いのだろう、というのが医師の診察の結果であった。
トレイシー侯爵は悩む。次期侯爵にと期待を寄せていた息子の身体が丈夫ではない。できれば治療に専念したい。だが、それを周囲に知られてしまえば、足元をすくわれてしまう可能性がある。
『お父さま、わたしがケビンになります。そしてケビンがわたしになるの。そうすれば、わたしが治療に専念できるでしょ?』
ケイトは父親もケビンも大好きだったから、二人が困るのがいやだった。
ケイトの提案に父親は難色を示したが、ケイトの味方になってくれたのが母親だった。女性陣二人に押し切られた父親は、渋々と納得した。
ケイトはケビンとして父親と共に王都の別邸で過ごし、ケビンはケイトとして母親と共に領地の本邸で過ごす。
ケビンは次期侯爵として父親の手伝いをしており、病弱の妹のケイトは領地で療養している。そう、周囲に思わせるのが狙いだった。